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『水の肌』(新潮文庫)

三島が長らく放置プレイなのに(冷汗)、我がKindle3に入っている松本清張シリーズ(ほとんどが推理小説)を読みながらKindle本体からはデータ消去していくので、オススメがてらメモを公開していこうと思うぞ。

第1弾は標題どおり『水の肌』。
ネタバレ防止のため、あらすじ(3行要約)などはナシ。
独断と偏見の「星3つ評価」でバシバシ斬っていくぞ。



1)指
★★(星2つ)

「陳腐(な偶然)が日常から発している以上、現実にはその例が多い。」というテーマが、2回くらい序と中盤で言い訳っぽく断っているとはいえ、偶然性がしつこすぎる。(1)弓子と恒子の出会いという偶然、(2)弓子の恋人(のち結婚)が小沢パパの実の息子という偶然、(3)結婚して住むアパートが殺しの現場。しかも同じ部屋、(4)チワワに子供がいて・・・。いやぁ、清張先生、4つも偶然を交差させているこの筋はさすがに萎えますわ。主人公・弓子のいやらしさ(アメリカ人と付き合ったり、両刀使いだったり)を評価して★2つを贈呈しますが。

2)水の肌
★★☆(星2・5)

こちらのほうが清張ファンとしては楽しい。主人公笠井平太郎はエリートなんだが、プライドの高さと自分の能力への思い違いから転落して、最後は人殺しで御用、という清張自身の怨念(このテーマは彼の作品では多発するのだ)がストレートに出ていて、どんだけ作者もひんまがってんですか、とツッコミをストレートに入れられる好作品でありますw。

評価がちょっと下がるのが、後半の注文住宅の依頼主のくだり。これもすっごい偶然、しかも妻が前妻・房子じゃねーか!(しかもこの時点では、房子が裁判所で離婚処理して夫である自分と離縁したと知らないという無理無理ストーリー)。こうゆう処理をしなくても面白くできると思うのだが。「日常にポッカリと空いた偶然の谷間」は清張の推理小説を貫くテーマの一つではあるんだけど、ここでも強引に偶然性が割り込まなくてもよかったというのがワタクシの考え方。なんかサイドストーリー気味のところで偶然が(1つだけ)起きていて、いや実はそれが大問題だったのだ…(『点と線』とか)の処理の方が読者も感情移入しやすいと思うのだ。

それにしても、「水の肌」ってオソロシイ命名だよな、この小説。

3)留守宅の事件
★★☆(星2・5)

調書から始まる意外な出だしだが、扱う内容はいきなり殺害事件。スピード感あるなぁ。グググと引き込まれた。
主人公・栗山の東北出張アリバイの詳細がウザい。ほとんどの読者は細かいところまで追う気力ないだろう。飛ばし読みするんだが、ここのボリュームが大きいとちょっと興ざめ。

この話でオカシイのは友人・萩野が「夫の留守中に栗山夫人と話をして親しくなり、行為、じゃなかった、好意くらいは伝えたいな」というスケベ心である。そんなんで福島から東京まで出て、人の家に忍び込むかってーの。ま、こんな非常識な行動があったから、ストーリーが複線化して面白くなったんだが。危うく荻野は濡れ衣を着せられるところだったが、もしそうだったとしても自業自得じゃろう。荻野の東京行きと自宅侵入(ないし普通に訪問)まで栗山の糸が引かれていたりするほうが、ワタクシとしては納得するんだが。

しかし結局の殺しのトリックは見事(ネタバレするので書かないが)。出張する死体!!
限りなく★3つに近い2・5!

4)小説三億円事件
参考評価★★(星2つ)

保険会社の調査員が三億円事件の調査結果を検討する体裁で、清張探偵の推理が炸裂しているという作品。作品そのものよりも、よく調べているなぁという感心が先にたつ。背後に警視庁の幹部が絡んでいるのではとか、米軍基地にアジトがあったのではないかという推理は(それが事実かどうかは不可知であるが)、清張らしい鞘のあてかたであろうと思う。XX省XX課の汚職…と同じセンである。

これは推理小説という観点で評価できない作品。個人的には冗長な気がするので、参考評価★2つにしておいた。

5)凝視
☆(星0・5)

これはストーリーにふくらみがない。というか、無理矢理大ドンデンを作ってしまっている。タイトル「凝視」のこれって、あくまで刑事たちの空想でしかないし…。(結局、犯人が逮捕されて実際にそうだったとか違ったとかいう解き明かしはないまま作品が終わっている)。

前半部分で沼井平吉が犯人だぞ、犯人だぞとしつこくサインを出しているのに(作者側もそっちに加担している格好で叙述が進む)、突然、特に合理的な理由もないのに(例えば、これも『点と線』でお一人様の領収書から疑念を生じて…というのとは質的に違う)若い添田巡査の誘導尋問じゃないかという"感覚"だけである。

包丁傷の左利き・右利き問題は「お一人様」の領収書より強くないし、何より疑念の突破口をつくる根拠としては小説的面白みに欠ける。添田巡査の第二の確信根拠である、玄関や土間に土足のあとがなかったという点が、あとで駐車場でゴミを捨てる男女のきれい好き(?)に結び付けられているのも、この点で面白みに欠くし、やはり強引である。

むしろ駐車場のリストからなにか別のストーリーが膨らんだほうがよかった(ストーカー的に毎回、奥さんと接触するために駐車しに来ている車が判明したとか…いや、それもありきたりかな?)。

いずれにしても、なんかいかにも清張らしいまとめ方ではなく、"締め切りが厳しかったんだよぉお!"感がムンムンな一作なのだ。てんで減点。

(以上)
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2011年01日 松本清張リーダー こめんと0 とらっくばっく-
  

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ヴィマーニカ・シャーストラ [日本語訳]

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