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--年--日 スポンサー広告 こめんと- とらっくばっく-

■放射能時代超説001■

204X年春。今年も咲かなかった桜を見上げ、技野直(わざの・ただち)はため息をついた。「ふぅ…。こんなに放射能が広がるなんて、爺さんは想像もできなかったろうな」20メートルも歩くと、胸が苦しくてため息のような呼吸困難が起きる。「ふぅ…」

直(ただち)は"特殊事象病棟"へゆっくりと進む。そこへバラバラッ、と音がして地面が鳴った。「また雹か…暦の上ではすっかり春なのに」

うずら卵大の大きさの雹が、ポポポポ~ンと落ちてきては、周りの車(もう10年も前からガソリン不足で放置されている)のフロントガラスを打ち、思い出したかのように空中で砕け散って、黒いアスファルトに転がった。「雹…」

「ふぅ…」「雹…」

30年以上たった今日も、ホントウの被害は拡大しているのだ。もはや、デマや噂を語るものは誰もいない。真実の被害しかこの世にはないのだから。(おわり)
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2011年07日 放射能時代超説 こめんと0 とらっくばっく-

■放射能時代超説002■

 大震災から8年後。
 不動住子(ふどうすみこ)は別府の知人宅にようやく身を寄せ、ひと心地ついた。
「ふぅ・・・」
 住子の"ひと心地"も、ため息交じりの呼吸困難なのであった。
「でも、少なくともここでは死の雹は降らないわ・・・」

 先週までの東京での暗い生活を思い出し、住子はTV局に勤めたことを後悔していた。
「まさか、最終的には自分が"安全洗脳"に引っかかっていたなんてね。とんだ笑い話よ・・・」

 震災から半年後、すでに住子は自分の身体の不調を認識していた。
 耳鳴り、軽い頭痛、日中の気だるさ。
 ニューヨーク駐在時代に「内臓からタフマンが湧いてるんだろ」と上司に評された絶倫の体力は、事故原発の蒸気のように雲散霧消してしまっていた。

 だが、仕事は辞められなかった。
 震災直後から鳴り物入りでスタートした看板番組に抜擢されたのだ。
「ここが稼ぎ時! それに、震災にあって苦労している人たちを、スタジオから美女が微笑みかけるだけでも救うことができるはずよ」
 最初は、そうした使命感もあったのだ。

「(※放射能汚染された原乳を他の市町村産と混ぜたので)牛乳は基準値を下回りましたので安心です」とか、「(※基準値の100倍超でも、トレンチにたまった1億倍と比べれば)低レベルの汚染水なので海に流せます」などと言うのは、震災直後のビギナーレベルだった。

 半年も経つと「高レベル放射能のホウレンソウは、いわば貴重なブランドものです。これをいかに安全に食べるかが、主婦の腕の見せ所ですよね~」という特集を組んだり、実際は中国産のチンゲンサイを日本産と偽って番組内でモリモリと食べ、あとでトイレで素で吐いたりした。

 2年も経つ頃には、自分でもだんだん訳がわからなくなってきた。「買占めは破滅に導くとノストラダムスも予言してました」とか、「自分の中の野生を高めて生き延びるためには豹柄の服がいい」、挙句の果てに「水道水はいまや"活性水"。放射性物質により分子レベルの振動がむしろ健康によいのです」とか。「こんなことは美濃ムンタでも言わねぇだろ~」と、局内でも冷笑されるようになっていた。

 しかし、住子は東京から動かなかった。いや、動けなかったのだ。
 自分がこれまで放送してきたことがすっかり内部化し、住子は少々のことでは動じなくなっていた。
 気がつくと、周りの友人や同僚はポツリポツリと姿を消し、ある者は西へ、南へ移住。
 ある者は"特別事象びょう棟"から手紙を寄越したが、その後音信が途絶えた。

 そうして8年が経った。
 住子は最後の7ヵ月間、ずっとひとりでカメラと照明・マイクをセットし、前夜に政府が出した放送原稿を読み上げた。
 編集が必要な素材は自分で映像を切り貼りした。
 すでに一般人がほとんどいない都内で、食料や水の調達もきわめて不便ななか、ひとり住子は奮戦していたのだ。

 ある日、住子は思い当たった。「これ、もう"ひとりユースト状態"じゃん・・・」
 住子は、ついに東京を去ることに決めた。
 豹柄の下着や服に身を固め、ようやく別府に到着したのは1週間後だった。

 住子は恨めしい気持ちで東の空を見上げる。
 今日も、余震雲が天高く聳え立っている。
「ふぅ・・・」「豹・・・」

(おわり)

===
(※本超説はすべてフィクションであり、実在するいかなる事象、人物、組織等について書いたものではありません。)
2011年12日 放射能時代超説 こめんと0 とらっくばっく-

■放射能時代超説003■

 2012年8月。吹島(ふきしま)第一原子力発電所で起きた大事故は、ようやく終息へのヤマ場を迎えつつあった。
 不安院の東山は、最後の作業が困難を極めることを説明する。

 超高レベルの放射線量地帯で、原子炉に冷却装置の配管を接続するのだ。制限時間は約4分。
 しかし作業をうまく完了しても、その瞬間に即死してしまうかもしれないほどの放射線量である。
 誰もがしり込みした。

 解決策を見出すため、太野(ふとの)官房副長官は占い師"文京区の父"を訪ねる。
 しかしその占い師は誰が適任かを開示しない。
 その代わりに、「問いが大きければ大きいほど、答えは問いに含まれていることがある」と諭す。
 太野は合点した。「そうか、"配管を直す人"だったか…」

 2日後、決死の覚悟で一人の男が原子炉に突入していった。
 それまで叶えられなかった"世評"を――死後のそれになったとしても――最後に得るために。
 歴史にヒーローとして名を残すために。
「ふぅ…」「評…」
 最後のボルトを締め付けた刹那、男の身体は蒸気となって吹島の空へ舞い上がっていった。
(おわり)

===
(※以上、クリエイティブコモンズとします。作者クレジットのみ要)
(※本超説は完全無欠のノンフィクションです。実在するいかなる個人、組織、事象について記述したものではありません)
2011年19日 放射能時代超説 こめんと0 とらっくばっく-

■放射能時代超説004■

母「マサオ! 2ちゃんねるなんてやってないで早く勉強しなさいっ!」

マサオ「いやです、お母さん。勉強する必要はもうないんです」

母「まぁっ! 何よその言い草! あなた偉い科学者になるんじゃなかったの? 数学とか科学とか、宿題があるでしょ!」

マサオ「科学者で偉くなっても、放射能の計算で度々数値を間違えたり、核種が実際には出ていなかったとか後から訂正したり、挙句の果てには会見でフリーランスの記者に突っ込まれてしどろもどろになったりするから、僕はもうやめたんだ。御用学者になってTVで解説しても、翌日にはニコ動で炎上して弾幕張られて罵られるしね」

母「まぁっ! じゃあ、政治家ね? 去年の文集では偉い政治家になるって書いていたじゃない…社会科の勉強をしっかりやって頂戴!」

マサオ「政治家で偉くなっても、国民との契約を全く達成できないのに国会でダイブして車椅子に乗ったり、議員会館で酔っ払ってベランダから転げ落ちなきゃならないし、想像以上にハードですよ。災害が起きてもアロマに癒されつつ英語の勉強はできるから、身の安全はあるみたいだけれど。もし首相になったとしても、高級料理を細君とたらふく食べているうちに勉強もしなくなって、災害が起きたらその不勉強がたたって政治パフォーマンスを優先しなきゃならなくなる。それで原発が爆発したら、もう目も当てられない。『まだ安全です』なんて言っているうちに、僕だったら人間として倫理的に崩壊してしまう。だから、もうやめたんだ。追加しておくと、野党で将来の首相候補として待望されていても、娘が東都電力に入社したと世間に知られたらけっこうガチョンだしね」

母「せりふが長いわね…じゃなかった、まぁっ! じゃあ、法学部ね? 一昨年は東都大学の法学部からエリート官僚を目指すって言っていたじゃない?」

マサオ「法学部を出てエリート官僚になっても、ぜんぜん畑違いの省庁にやらされて、災害なんかあった日には毎晩深夜にコッソリと記者会見を続けないといけないから、絶対にイヤだな。ツイッターでもみんなにヅラとか言われるし…。給料がめちゃくちゃいいし、天下りもできるから将来的にはいいんだけれど」

母「まぁっ! じゃあ、会社員ね? 平凡だけど、安定した大企業で堅実に働くのはどう?」

マサオ「それもいやですね。偉くなっても、最後はあんな風(※4字傍点)になっちゃうんですよ」

母「まぁっ! じゃあ、あなたは何になりたいの?」

マサオ「僕は家にいて、インターネットで情報を収集してブログやツイッター、掲示板に書き込むことで、社会を変革したいんだ。たまには近くの店に行って、放射能に汚染されていなさそうな遠くの地方の物産を買ったり。気が向いたら超説を執筆したりするのもいいんじゃないかな。努力しても勉強しても、もうダメダメなモデルしかいないんだし、働いたら復興税、国債の償還分の税金、見込みのない年金を支払わせられる。自宅警備員が一番、QOLが高いし、たぶん平均寿命も長いんじゃないかな。ね、パパ」

父「マサオの言う通りだ。さ、それじゃぁJリーグカレー食べよう~! 明日、Jリーグも再開だぞぉ~!!」

マサオ「やったね!」

(おわり)

2011年23日 放射能時代超説 こめんと0 とらっくばっく-

■放射能時代超説005■

※よくよく考えたら、以前ツイートで書いたように、「超説はメタ小説、すなわち3行とか、長くとも20行程度までの"あらすじ"に相当し、それはCC(クリエイティブコモンズ)として他者の二次利用を許可する。そこでできた"子供の小説"を"中説"(※小説とへりくだらないという意味)と呼ぶ」としていたのであるが、これまでのシリーズではこのあたりが曖昧だった。
いまさら内容やタイトルを変更するのもナンなので、これはこれで放置しておきます。
それと、「中説」というのはやはりなじまないし、Web2.0的な創作としては小説よりさらに(少なくとも、いったん外見上は)へりくだるべきだったかと。
ということで、「微小説」と呼ぶことにする。

すなわち:
「超説」(=メタ小説:CC)→さまざまな「微小説」(著作権は個々の書き手に所属)
としておこうか。

んで、「超説」の第5弾。
===

吹島原発の事故で被災した農家、漁民たちが、
技野直(わざのただち)「死傷者多数だが、ただちに国家体制に影響はない」
文京区の父(巣鴨近辺、都営三田線の駅近に在住)「だから暴力装置と言っただろう。あれは警告だったのだ」


ブラック過ぎるので止めておくか…orz
2011年26日 放射能時代超説 こめんと0 とらっくばっく-

■放射能時代超説006■

技野直(わざの・ただち)の2人娘である影子(えいこ)と響子(きょうこ)。
2人がシンガポールから帰国する。
2ヶ月も家を空けていたため自慢の庭の草木が伸びており、どうしたものかと話し合う。

そこに、計ったかのように造園業の営業マンがやってくる。
「いまなら震災記念の31.1%割引でお庭の手入れをやらせていただきます。念のため、植木の放射能除染作業も無料で大サービスいたします!」

イケメン営業マンに胸キュンとなってしまう2人。
まだシンガポールにいる母に国際電話で承諾を取り、この造園業者に庭の手入れを依頼する。

1週間後、庭の土は"活性化した土"なるものにすべて入れ替えられ、草木の手入れも、除染作業も滞りなく完了した。影子と響子は満足の表情で庭を眺める。

郵便ポストに、業者からの請求書が届く。
それを開く影子。業者の本社住所は吹島(ふきしま)県飯絶(いいたち)村となっている。

1年後、2人の胸はまたキュンと疼き始めるようになった。
「これって、恋かしら…」
2011年03日 放射能時代超説 こめんと0 とらっくばっく-

■放射脳時代超説007■

2011年7月X日。
吹島(ふきしま)第一原子力発電所の3号炉が"消滅"した。
折からの南風に吹かれ、建屋が北側にパタンと倒れたのだ。
それはまるで、耐えに耐えていた紙細工がその寿命尽きて静かに崩れるような、ある種の諦念を感じさせる倒れ方であった。

2011年8月X日。
この日、最後に2号炉が倒れたことにより、事故を起こしていた吹島第一原発で1~4号炉すべてが"消滅"したこととなった。

2011年12月X日。
原子力権益万全・保安院の東山の会見。
東山「ええと、去る7、8月にかけて倒壊した1号炉から4号炉ですが、すべて存在が無くなりましたことを報告いたします」

記者A「ようやく判明しましたか。いや、大変お疲れ様でした。記者クラブを代表して祝賀申し上げます。ところで、原子炉の存在が無くなった、とはどういうことになりますでしょうか?」

東山「当初、ロードマップでは"冷温停止"を目指していましたが、その必要が無くなったということです。ご覧の通り、原子炉はすべてナチュラルかつオーガニックに崩壊し、いまは平坦地になっています。いわば"平坦停止"したと言い得ます」

記者B「放射性物質の拡散は…どうなったのでしょうか? あ、これ質問しても良かったですかね、NGでしたら社として謝罪いたしますが…」

東山「いや、良い質問ですよ。活性化物質、まぁ世間では"放射性物質"と呼ぶようですが、これらはすべて自然界に戻りました。"元鞘に戻る"といいますか。今は『これでいいのだ、諸行無常なのだ』という心境であります。周辺の活性線レベルですが、測定器がすべて故障しておりますので、後ほど配布する数値で報道していただければ結構です」

記者C「ご会見、真にありがとうございました。それでは終了のお時間でございます。皆様、お車代をお受け取りください…」

今日も吹島の大地を風が舞う。
2011年11日 放射能時代超説 こめんと0 とらっくばっく-

■放射能時代超説008■

2012年X月。

都内で新しいタイプの高級マンションが売り出された。
広告には「名湯・玉川温泉の約10倍、70マイクロシーベルト/時の健康活性線で満たされた癒しの空間・・・セシウムコート世田山」
価格設定はたったの1000万円!
倍率3000倍を勝ち抜き、60世帯がこのマンションを手に入れた。
普通なら、この立地でこのグレードなら3LDK6000万円が相場なのだ。

TVクルー「抽選のご当選、おめでとうございます! ところで、このマンション、なんでこんなに安いのかご存知?」
当選した家族「え・・・TVでは何も言っていないから確信は持てないですけれど・・・そういや、友人が言うには『放射能の汚泥処理をするために東都電力が5000万円分を補填しているらしい』って。危険厨にもほどがありますよね、ハハハ・・・」
TVクルー「・・・正解です!」

半年後、すべての世帯が鬼籍に入ると同時に、「入居者特殊規約」第2条(購入時の世帯構成員がすべて死亡した場合には、当該物件は無条件に東都電力の所有物となる)により、再度このマンションが1000万円で売られたのであった。

TVクルー「抽選のご当選、おめでとうございます! ところで、このマンション、なんでこんなに安いのかご存知?」・・・
2011年23日 放射能時代超説 こめんと0 とらっくばっく-
  

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40年の時を超えて…復刊!

ヴィマーニカ・シャーストラ [日本語訳]

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